皆さんこんにちは! メカニックの石井です!!

9月も終わりに近づき、日中はまだ暑さが残るもののアブラゼミの大合唱は聞こえなくなり、夜は涼しい風も吹くようになりました(^^♪
真夏の現場作業は1年を通じて一番過酷な季節です!私はどちらかというと寒がりなんですが、それでも真夏は毎年本当っにキツイ(>_<) そんな、夏も終わり、これからは食欲の秋!読書の秋!!スポーツの秋!!! という事で私も初めます。筋トレを! 最近、暑くてやらなくなっていた筋トレ! 筋肉はメカニックにとって、かなりの武器になります。テクニックだけでは絶対にできないパワープレイ、結構あるんですよ! 余談になりますが洗車のバイトをして頂いている加藤さん(なんと現在83歳!)、実は元メカニックで昔は鉄製のミッションを人力で持ち上げてクラッチ交換等おこなっていたみたいです。 今ではミッションジャッキ等便利な工具がありますが、昔の人は基本パワープレイ。 ほんと凄いですよね、私なんかは絶対無理です(>_<)

という事で、ここからはパワープレイを披露していきたいと思います。
今回ご紹介するモアパワーBMWはこちら!


E63 650i N62エンジンのお車です!
症状はといいますと、エンジン不調で振動あり。1発死んでいる状態です。
ああこれね、定番のやつかな?と思いつつプラグとイグニッションコイルを点検してみたところ異常無しΣ(゚д゚lll)ガーン
気を取り直して本格的に点検して行きます。
サービステスターでエラーコードを見てみると「ミスファイア4番」とのこと。
点火してないのかなぁ?と思いつつイグニッションコイルに直接プラグを取り付けスターターを回してみたところ、ちゃんと火花が飛んでいる状態です。
となるとインジェクターが壊れた??  まあたまにあるしな(゚Д゚)ノ
・・・ところが今回はインジェクターも正常でした。
ここで基本に戻って確認していきます。
エンジンの3要素、「良い火花」「良い混合気」「良い圧縮」のどこかがおかしいわけです。
点火(プラグ、イグニッションコイル)と燃料(インジェクター)はOK!
という事は?  そうです「良い圧縮」が無い?コンプレッションゲージで圧縮を計ってみましょう。結果は圧縮0キロ!!Σ(゚д゚lll)ガーン
エンジン内部不良確定です(´;ω;`)ウゥゥ

ということで、ここからはパワープレイな作業スタートです!


ヘッドカバーを開け、全バラする勢いでどんどん部品を外して行きます。
V型エンジンはなかなかてこずるので時間がかかってしまいます。
心が折れそうです(´;ω;`)ウッ…


そして発見しました。破損部品!ロッカーアームが折れてしまっています!!
E30世代の旧車ならともかく、この年代のエンジンではかなり珍しい症状です。
これだとバルブ自体も交換必須なのでシリンダーヘッドまで外して行きます。


シリンダーヘッドを取り外し、腰下を点検します。
こちらは無事でした!


これが外したバルブ、見た目ではわかりにくいですが写真右側が曲がったバルブです。
部品在庫を調べたところ、なんと本国ですら欠品状態。どうしよう工場長( ノД`)シクシク…
という事で工場長が調べまくった結果、とある別エンジンと共通のバルブを使用しているらしい・・・
それ部品取りにあるじゃないですか!さっそく部品取り車からヘッドを抜きバルブを外してみたところ、全く同じでした。(写真左)これはラッキーです。ヾ(o´∀`o)ノワァーィ♪


早速、バルブシートのすり合わせを行い組み付けました。そして無事完成したシリンダーヘッド。リークチェックしても問題無し!
これで安心して組み付け作業に入れますね。


だいぶ組み上がりました、あと一息です!
こういったヘビーな作業は集中して一気に組み上げていきます。
とにかく集中力を最大限に上げて進めていきます。少しずつ仕事の合間で組んで行くとか、ばらしたエンジンを半年後に組み付けるなんてほうが難易度が高いんですよΣ(・ω・)/ シンプルに忘れちゃいますからね!
そしてV8はエンジンルームぎっしり詰まっているので何をするにもスペースが無くて大変(>_<) プラグ交換ですら結構時間かかっちゃいます。
ちょっとしたコツがあるのですが、初めてやったときはイグニッションコイルが抜けなくて苦労しちゃいましたね。


そんなこんなで一旦組み上がりました。
付け忘れや組み間違えが無いかもう一度チェックしていきます。
派手にばらしてますからね、不安な箇所が無くても何か不安なんです(笑)


そして本来の目的である。エンジンの圧縮が元に戻っているか確かめましょう。
ばっちりですね! 異常無し!!


そしてついにエンジン始動!!!
エンジンの振れも無く、安定していますヾ(o´∀`o)ノワァーィ♪
診断機を使い、各シリンダーのパワーバランスを見ても乱れはありません。
試運転も良好で快調な車に仕上がりました!!
モアパワー復活です。

皆さんいかがでしたでしょうか?
一時はどうなることかと思いましたが、何とか無事修理を終えることができました。
トラブルシューティングでハマった時は必ず基礎基本から攻めていくのが重要ですね。今回も初めは、エンジン本体は問題無い!という前提で診断していました。でも違ってましたね、たまにあるんですよ、問題無いという前提で調べて行って結局エンジンが焼き付いていたとか、実はコンピューターが壊れていたとか。
トラブルシューティングは奥が深いですね。
経験則から攻めていくのか? 基礎基本から攻めていくのか?
どっちが正解なんでしょう? ケースバイケースでどっちも正解ですかね(^-^)

今回はここまでとなります。
それではまた次回の「不定期日記」をお楽しみに!!!

サービス部 石井 直人